優しい空白
自由の形は歪んでいるから成立する。
飛べる空は限られているから
風の心地よさを感じる。
そして僕は、宇宙の構造なんて知らなくても
夜空を彩る光りが何よりも
綺麗だということを知っていた。
緩やかな鎖に繋がれて
見渡せる世界の領域こそが
この世界の全てだった。
けれど、そんな世界の色彩は
大人になるにつれて
目眩がするほど、明るくなって
知りすぎるほど、窮屈になって
空白だけが愛しさを持つようになった。
空白だけが優しさを持つようになった。
人生の中で様々に色づいた色彩を
また空白へと戻す作業・・。
この世界で美しいものは空白だけ・・。
- [2008/06/26 14:03]
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隔離された心
歳月と成長の中で
言葉は、感情との摩擦を生んだ。
言葉は言葉を重ね
氾濫を繰り返し
感情は心に閉じこめられたまま
鉄格子の柵に、涙を濡らす。
伝わらない想いが
太陽の影に滲み出る時
その陽の当たらない孤独な場所でも
人は人を愛していられるのだろうか。
言葉をください。言葉をください。
偽る必要も、飾る必要もない
まっすぐな言葉をください。
不十分な言葉など
詩となるはずもない。
心という隔離された世界で
感情は自由だけを夢見ている。
言葉をください。言葉をください。
心から抜け出せる言葉をください。
また消えてゆくのは、愛か。
- [2008/06/14 17:42]
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月灯りの後に、1
月の灯りに見え隠れするそれは
戦い疲れた日々の残像。
構築されないままの人格で
世界の何を見つめても
心は傷つくことしか知らない。
痛みに染まるだけの思い出を
季節が還る場所へ
そっと しまいこんでください。
やがて太陽が小さな夜を飲み込んで
世界には 朝が訪れるだろう。
けれど心は 朝を受け入れる準備も
出来ないまま 時は過ぎていく。
涙を重ねただけの冒険は
遠い日のどこかで
過去に変わることなく漂い続けて
心を切ない痛みで包み込んでいる。
僕は気付いていた。
もう一秒先の未来ですら
痛み無しでは見つめることも
出来ないんだ、と。
- [2008/06/10 15:41]
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月灯りの後に、2
溺れた夢を見ていた。
眠りの奪われた長い夜に
記憶の欠片は痛々しく輝く。
わずかな風に触れる指先を
届くはずもない夜空へ伸ばしては
月の見えない感触が
やけに悲しい。
過去に映る罪や後悔や痛みが
疲れ果てた心に
何かを語りかけてくる。
定まらない心の焦点は
小さな日常の情報に
絶えず揺らめき続けている。
生や死の意味など
いつの日も見えるはずがない。
まるで不毛な痛みを数えていたね。
貧弱な冒険者の想いは
星屑の夢の中。
生きる孤独といい
死ぬ孤独といい
笑える居場所など存在しないと
悪戯に静かな夜が教えてくれる。
僕は溺れた夢を見ていた。
- [2008/06/10 15:40]
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月灯りの後に、3
傷心の中で
想うのは心の答え。
激流のような世界の中を
不確かな一つの個体として
漂い続けたその日々。
傷を刻むことだけでしか
生きてゆく方法を知らなかったその日々。
行く宛の見失った心に
そんな思い出ばかりが満ちていく。
触れる度に汚れた愛や優しさ。
偽るほどに沈んだ弱さや理想。
それら濁った涙は結晶となり
世の中のどんな輝きよりも
醜く そして愛しく 光っている。
世界には綺麗なものばかりだと
信じていたのか。
心の汚さや醜さを
いつまでも嫌う人間で居たかったのか。
落ち葉が揺らめくように
一つ一つ真実が散った心に
肩を落として
切なく差し込む月灯り。
やがて新しい太陽が
夜空に弧を描いていくように
次の世界は
また始まりを迎える。
- [2008/06/10 15:30]
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月灯りの後に、4
夜と朝の隙間に見える空の色彩は
静かな孤独を描いている。
止まったような世界の中で
確実に近づいてくる朝の気配。
終わらない思考は
昨日の答えなど見出せないまま
目の前に広がる未来。
はじまる朝と
消えてゆく夜と
疲れ、弱った心だけが
永遠のように ここにある。
ただ永遠のように ここにある。
刻まれた日々も、言葉も
築いてきたモノも、失ったモノも
全てを洗い流すように
この静かな孤独の中で
夜と朝の隙間にある永遠の中で
ただ、ここで・・。
心は死んだのか。
心は死んだのか。
心は死んだのか。
空白のように時が過ぎて行きます。
- [2008/06/10 14:46]
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月灯りの後に、5
空は加速し
日々は色褪せて
眠っていた花達は
汚れない笑顔で風に揺れる。
悲しみと呼ばれたいくつかの想いは
雲の一部のように
青空の片隅で漂うだけになり
小さな傷跡は 季節の中で乾いて
そっと消えてゆくだろう。
世界の全ては忘却の中で
その存在の意味を無くし
語り継がれない誰かの悲しみも
語り継がれない誰かの想いも
旅の終わりになれば
穏やかに風化して
憂鬱な心は
静かに落ち着きを取り戻す。
この短い腕の長さで届くくらいの
身近な人だけを想い
このわずかな声で伝えられるくらいの
愛の言葉で
人を、未来を、願う。
季節は変わり 時代は過ぎて
空は流れて。
- [2008/06/10 12:46]
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